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ゾロアスター教の話

ザラスシュトラ

ゾロアスター教の開祖である ザラスシュトラ は当時のペルシア北東部、現代のイラン・アフガニスタン・トルクメニスタンの国境辺りに生まれたとされています。生存した時代については諸説ありますが、今日の研究では紀元前1500〜紀元前1000年の間とされているようです。

古代ペルシアには文字がありませんでした。そのためその頃の記録は残されておらず、長い間口承によって伝えられてきました。それをギリシャ人などの外国人が文献にしたのですが、それもザラスシュトラが生存していた時代より千年以上も経ってからのことでした。

ザラスシュトラは30歳頃までは当時ペルシアに存在していた古代の宗教の祭司であったようですが、ある時、最高神 アフラ・マズダー から啓示を授かり、それ以後はその教えを広めることに尽力しました。

ザラスシュトラ

ゾロアスターとは、ザラスシュトラのギリシャ風の呼び方 ゾーロアストーレス に由来しています。

ちなみに、ドイツ風の呼び方では ツァラトゥストラ になりますが、ゾロアスター教の教義とニーチェの『ツァラトゥストラかく語りき』は、内容的にあまり関係ないようです。

 

 

アヴェスター

ゾロアスター教の聖典『アヴェスター』は、ザラスシュトラの時代から数百年かけて作成されたものです。これも前述の理由から口承によって残されてきたもので、後代になって書き記されました。

『アヴェスター』最古の部分は、「ガーサー」というザラスシュトラ自身の作とされる十七篇の韻文から成っています。これは現存しない古代の言語で出来ていて、この言語は「ガーサー・アヴェスター語」と呼ばれています。

現在の『アヴェスター』は原典の四分の一程度でしかありません。七世紀のアラブによる侵攻、その後のトルコやモンゴルによる侵攻の影響で、その大部分は失われてしまいました。

 

 

思想

ゾロアスター教は ”善” と ”悪” の対立という 二元論 の上に成り立っています。

アフラ・マズダーは初め「ノーメーグ」という精神世界の創造を行いました。それは、真理の霊 スプンタ・マンユ が支配する、全てが純粋で善良なものばかりの世界でした。しかし「ゲーティーグ」という物質世界の創造を行った時、虚偽の霊 アンラ・マンユ が現れ、罪業・無知・暴力・死などの邪悪なものが世界に入り込んでしまいました。人間の思考と行動は全てこれら二つの対立する霊力に支配されていて、ゾロアスター教徒はアフラ・マズダーから与えられた自由意志によって邪悪なものと戦い、善良なものを選択していきます。

 

 

信仰

ゾロアスター教では儀礼や戒律はあまり重要とされていません。日々の生活において、良心(ウォフ・マナ)により善思・善語・善行を行い、道理(アシャ)に基づいた人生を送ることで、アフラ・マズダーに近付けるとされています。

勤勉に働き、結婚し、家族を養い、社会に貢献すること、幸福を求め、日々の生活を謳歌し、人生の喜びを享受することこそアフラ・マズダーの教えであり、逆に、物事を悲観し、人生に絶望することは罪業とされ、邪悪に屈したと見なされます。

 

儀式・祭祀は全て火の前で執り行われますが、火自体が崇拝の対象となっているわけではなく、火はアフラ・マズダーの象徴と見なされているに過ぎません。

 

 

現在

イランのゾロアスター教徒は ザルトシュティー と呼ばれます。三世紀〜七世紀のサーサーン朝では国教にまでなったゾロアスター教も、イスラム帝国の建国を機にその数を激減させられました。現在、イラン国内には2万〜3万5千人くらいのザルトシュティーがいると推測されます。

インドのゾロアスター教徒は パールシー と呼ばれます。これは七世紀以降、イスラムの迫害を逃れてインドへと渡ったゾロアスター教徒が、イランのパールス州の出身だったことに由来します。現在、約10万人のパールシーが世界で最大のゾロアスター教徒社会を形成しています。隣のパキスタンにも7〜8千人が居住しています。

その他、オセアニア、イギリス、ドイツ、シンガポールには正式なゾロアスター教団があり、北米でも1〜2万人の信者がゾロアスター教徒組織に所属しています。

 

 

日本

日本書紀には孝徳天皇白雉五年に吐火羅人が日向に流れ着いたとの記述があります。吐火羅人はペルシア人を指すと考えられていますので、飛鳥時代にゾロアスター教が日本に伝来していた可能性も否定できません。奈良の東大寺二月堂の「お水取り」などはゾロアスター教の影響を受けているという説もあります。

 

自動車メーカーのマツダが、アルファベット表記を MAZDA としているのは、アフラ・マズダーに由来しているそうです。

 

 

名前の感じとか、火を奉ったりすることなどからヘンテコなイメージをもたれがちなゾロアスター教ですが、実際には幸福志向の楽観的な宗教です。”善” と “悪” の対立という構図もとても分かりやすいですよね。

皆さんもネガティブな気分の時は、アフラ・マズダーを心に浮かべ、デミオに乗りましょう!

 

この記事は『ゾロアスター教』(P.R.ハーツ著/青土社)を参考にさせていただきました。

 
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